アメリカと英語を同時に学ぶ 2008 8 10

書名 英単語500でわかる現代アメリカ
著者 尾崎 哲夫  朝日新書

 メルティング・ポットとサラダボウル。
プロ・ライフとプロ・チョイス。
進化論とインテリジェント・デザイン。
保守とリベラル。
 現代のアメリカを知るキーワードかもしれません。
しかし、多くの日本人は、知らないと思います。
 日本人にとって、
アメリカは、よい意味でも悪い意味でも、
「最も近い国」あるいは「最もよく知っている国」と思っているでしょうが、
「実は、みんなアメリカを知らない」ということかもしれません。
 堅苦しい話は止めて、面白い話をしましょう。
日本の知識人は、
「アメリカは、訴訟社会、
いや訴訟天国が転じて訴訟地獄になっている」ということをご存知でしょうが、
この本にも、そういうことが書かれています。
 以下、引用。
アメリカ人の訴訟好きlitigiousnessは有名だが、
それに対抗して、企業側も馬鹿げた訴訟gratuitous lawsuitsを
引き起こされないための対策を練っている。
 その一つが、商品に付ける注意書きだ。
なかには過剰反応と思われるものも多い。
○乳母車baby carriageの注意書き
Remove child before folding.
(折りたたむ前に赤ちゃんをどかせてください)
○作業用手押し車Wheelbarrowの注意書き
Not intended for highway use.
(ハイウェイ仕様ではありません)
手押し車を押しながらハイウェイを行く状況がどんなものか想像しづらい。
 アメリカは、こうした特異な社会だから、
日本企業がアメリカに進出する際にも、
製造物責任法PL=product liabilityなどによる訴訟で苦しめられた経験がある。
 以上、引用。
日本人は驚くと思いますが、
日本に、自動車産業があるように、
アメリカには、訴訟産業というものがあると思います。

窮屈なアメリカ 2008 6 29

書名 見えないアメリカ 保守とリベラルのあいだ
著者 渡辺 将人  出版社 講談社現代新書

 アメリカにおいて、「保守」と「リベラル」は、重要なキーワードです。
しかし、日本人にとって、「保守」という言葉は理解できても、
「リベラル(Liberal)」という言葉は、なじみがないと思います。
 「Liberal」を英和辞典で調べてみると、
「自由主義の、進歩的な」とか、「自由主義者、自由党員」という意味が出てきます。
 アメリカの「Liberal」は、英和辞典の「Liberal」と、ちょっと違います。
アメリカの「Liberal」とは、政治用語であると同時に、生活用語でもあります。
大雑把に言えば、アメリカ人は、保守とリベラルの二種類の人種に分類されます。
 何だか、人類学の分類のような話になってきましたが、
「見えないアメリカ」という本を読むと、そういう気分になります。
 この本によれば、以下のとおりです。
「リベラルな飲み物」 スターバックス
「保守系の飲み物」 クアーズビール
(リベラルな人の生活の嗜好がスターバックス、
保守的な人の嗜好がクアーズビールで、飲み物で象徴されます)
 もちろん、これは、「強引な比喩」と著者は言いますが、
「おおまかにいって当たっていると真剣に考えられている。
アメリカの選挙陣営は、スターバックスとクアーズビールの消費データを、
支持政党の割り出しに使用しているからだ」と言います。
 それから、「モーの保守化実験生活」の話が出てきます。
「リベラルな人が、保守的な生活の嗜好を持つことは、まったくないのだろうか」
リベラルな地域から、保守的な地域に転居して、自分が保守化するか実験をしたのです。
 ところで、保守化する道具とは何か。
保守的なメディア FOXニュース →このぐらいは、日本人にも、わかるでしょう。
保守系の音楽 カントリー音楽 →これは、日本人には、わかりにくいかもしれません。
保守系の映画 善と悪が明快に分かれているもの。勧善懲悪のもの。
       たとえば、「インデペンデンス・デイ」とか「ロード・オブ・ザ・リング」
保守系の食べ物 ステーキとビーフジャーキー
 →こうなると、日本人には「なぜ」という疑問が出る。
  ちなみに、リベラルな食事とは、ベジタリアンでしょうか。
「都市部のリベラル系が、不健康なジャンクフードと決めつけて軽蔑するファーストフード店が、
保守的な中規模の地方都市では『レストラン』として扱われていて、
車でやってきた家族連れが、『食事』をして帰る姿も日常的だったりする」
保守系の娯楽 NASCAR
 著者によれば、「ナスカー」とは、
アメリカの中西部や南部で開催されるレーシングカー競技のことだが、
これを観戦する人たちの8割以上が、保守系で共和党支持者だとされているという。
 何だか、ここまで保守とリベラルで分類されていると、
日本人には、「アメリカは窮屈だ」と感じることになるでしょう。
 日本においては、飲み物や食べ物に、あるいは生活嗜好に、
「政党色」や「政治色」はありません。
何でも、自由で、勝手気ままです。
(こうなると、日本は、リベラルに分類されるのでしょうか?)
 ともかく、アメリカ人は、「窮屈なアメリカ」に嫌気が差したら、
自由な国「日本」に移住したら、どうでしょうか。
 日本には、スターバックスもマクドナルドも、星の数ほどあります。
望むならば、リベラルな生活も、保守系の生活も、自由にできます。
リベラルと保守の間で「転向」するのも自由ですし、誰も気にしないでしょう。
何しろ、アメリカと違って、日本は自由の国だからです。
 この本には、日本人からすると、「驚くような話」や「唖然とする話」が、たくさんあります。
アメリカに興味がある人は、必読の書と言えるでしょう。

















































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